第3章② 第3世界 彷徨
新たな世界への彷徨
人々は昼も夜も必死に筏を漕ぎ、やや北寄りの東へと進んだ。
ついに彼らは陸をみつけた。海から高くそそり立ち、見渡す限り北と南に広がっている。大いなる力強い陸だ、と彼らの内なる知恵は告げた。
「第四の世界だ!」と人々は叫び合った。
接近するにつれ、岸辺は切り立った高い山々の斜面となった。上陸できる場所はどこにもない。
「北に行こう。そうすれば出現の場所がみつかるだろう」と誰かが言った。そこで北に向かったが、山はますます高さを増してきた。
「だめだ、南に行こう。そうすれば出現の場所がみつかるはずだ」と誰かが言った。そこで、さらに何日もかけて南下したが、やはり山々は険しくなるばかりだった。
途方に暮れた彼らは漕ぐのをやめて、頭頂の扉を開き、導かれるに任せた。すると、ほぼ同時に水の動きが収まり、穏やかな海流に筏が乗り始めた。まもなく、彼らは上陸し、砂浜で喜びをかみしめた。
「第四の世界だ。ついに出現の地に着いたのだ!」と誰もが叫んだ。
まもなく他の人々も追いつき、全員が集まったところでソツクナングが現われた。
「よろしい。全員がこれで集まった。ここが、あなた方に用意しておいた場所である。あなた方のきた道を見てみよ」
西と南に目をやると、自分たちの休んだ島々がみえた。
「あれは、あなた方の旅してきた跡である。私の滅ぼした第三の世界の高い山々の頂である。さあ、見よ!」
人々が見続けていると、一番近い島が海中に没した。まもなく、次の島が没し、ついに島々は全て沈み去り、見えるは海ばかりとなった。
「見よ!」とソツクナングは言った。
「私はあなた方の足跡さえも洗い流した。この海の底には、誇り高き都の全て、空飛ぶパツボタ、悪に染まったこの世の富、山の頂から創造主に讃歌を捧げることに時間を使わなかった者たちが眠っている。だが、あなた方が出現の記憶と意味を保っていれば、いつかこれらの足跡がまた浮かび上がり、真実を告げてくれるときがくるだろう」
これが、第三の世界クスクルザの終わりである。