アメリカインディアン ホピ族の神話

第3章② 第3世界 繁栄と堕落

 繁栄と堕落


 その名はクスクルザ、方位は東、色は赤。主なるものは、パラシバ【銅】、ピバ【タバコ】、アングウシ【カラス】、チョービオ【羚羊】。
 この世界でふたたび人類は増え広がり、生命の道の上を進み続けた。第一の世界では、人々は動物と一緒に素朴な生活をした。第二の世界では手工品や家屋、村落を発展させた。

 この第三の世界では、人々は大都市や国々、大文明を築くに至るほどまでに人口が増え、急速に発展した。しかし、このことが、創造の計画に従いタイオワとソツクナングに讃美の歌を送ることを、難しくさせる結果になった。人々は、ますます自分たち自身の地上的な計画にとり込まれるようになった。

 もちろん、人々の中には初めに授けられた知恵を保っている者たちもいた。彼らは、この知恵によって、人が生命の道から外れて発展すればするほど、事が困難になることを理解していたのだった。まさにこの理由のために彼らの世界は二度まで破壊され、初めからのやり直しを迫られたのである。あまりに多くの人々がその生産力を邪悪な方法で使っているため、彼らは特に心配になった。

 非常に多くの人々を堕落させる悪徳で世界的に有名になった女がいた。あまりに沢山の男たちが自分の愛顧を求めてトルコ石のネックレスをくれるので「地軸の先につながる梯子に巻きつかせられるほどだ!」とこの女は豪語した。

 そこで、知恵ある人々は創造主への讃歌をいっそう声高にうたった。
 彼らにほとんど耳を貸さない人々がほかにもいた。弓族の指導のもと、彼らは創造の力をもう一つの邪悪で破壊的な方向に向けた。恐らくは、あの女の影響によるものだろう。

 何人かはパツボタ【獣の革製の縦】を作り、創造力を使ってこれを空に舞い上がらせた。
 これに乗って沢山の人が他の都市を攻撃し、どこから来たのか分からないほどの速さでまた帰ってくることができた。まもなく、多くの都市でバツボタが製造され始め、人々はこれに乗って侵略し合うようになった。こうして、第三の世界も、かつてと同様に腐敗と戦争の場と化した。