アメリカインディアン ホピ族の神話

第2章 第2世界 火と氷による大浄化

 第2世界 消滅


 しかし、獣と一緒に生活することは許されなかった。獣は野生化し、人々から離れていたのである。動物から離れたため、人は自分の仕事に励んだ。家を建て、村ができ、その間を結ぶ道路ができた。手でものをつくり、蟻人間のように食糧を集めた。次に、交易を始め、互いにものを売買し始めた。

 問題が起き始めたのはこの頃である。必要なものは、全て第二の世界にあった。しかし、人々はそれ以上のものを求め始めた。人々は、不要なもののためにますます交易を進め、得れば得るほどますますものをほしがった。状態は深刻化した。それは、与えられたよき生活から自分が一歩一歩離れていることに、人々が気づかなかったからである。
 人々は、創造主へ讃美の歌を捧げることを忘れ、売り買いし蓄えたものを讃美し始めた。起こるべきことがやがて起こる。人々は争い始め、村同士の戦いが起こった。

 それでも、どの村にも創造主の歌をうたい続ける僅かな数の人々がいた。だが、悪しき人々はこの人たちを笑い者にしたので、彼らは心の中で歌うようになった。それでも、ソツクナングは、人々の波動センターと地球のそれとを通してこの歌声をきいていた。ある日、不意にソツクナングは彼らの前に現われた。
 「あなた方の糸がこの世界の上で切れかかっている、とクモ女が訴えてきた。実に悪しきことである。クモ女はあなた方の指導者だった。そして、あなた方はこの情勢が始まるまで、よくぞ向上してきた。このようになった今、私と伯父のタイオワは何らかの策を講ずることに決めた。私たちは、あなた方を安全な場所に移してすぐに、第二の世界を滅ぼすことにする」

 こうして、ふたたび第一の世界のときと同じく、ソツクナングは蟻人間に命じて人々を地下に避難させた。人々が安全に避難すると、ソツクナングは南極と北極をそれぞれ守っている双児のポカングホヤとパロンガウホヤに持ち場を離れるように命じた。

 双児が持ち場を離れると、世界はバランスを失い、回転が狂って二度も引っくり返った。山々は大音響とともに海になだれ込み、海と湖は陸に覆いかぶさった。そして、それらが冷たい生命なき空間を巡る間に、世界は厚い氷に閉ざされた。
 トクパ、第二の世界はこうして終わりを告げた。