第1章③ 第1の世界 人の創造
人類の創造
そこで、クモ女は、今度は赤・黄・自・黒という四つの色の土を集め、口の唾液ツチュバラをそれぞれに混ぜて形を造り、創造の知恵そのものである白いケープでこれを覆った。
前と同じように創造の歌をこれに向かってうたい、そして覆いをとると、ソツクナングそっくりの人間たちがそこにいた。次に、彼女は自分の姿に似せてさらに四人の人間を造った。これが最初の四人の男のパートナーとなる女たち、ウティである。
クモ女がケープを外すと、形は生命となった。これは、濃い紫色の光コヤングヌプトの時代、人間の創造の神秘を初めて明らかにする創造の第一段階であった。
彼らはすぐに目を覚まして動き始めたが、まだ額の上は湿っていて頭頂には柔らかな点があった。これは、黄色い光の時代シカングヌカ、生命の息吹が人の中に入る創造の第二段階の時代である。
短い時間のうちに太陽が地平線の上に現われ、彼らの額の湿気を乾かし、頭頂部の柔らかな点を固めた。これは、創造の第三段階タラウバ、赤い光の時代であり、このときに人間は完全に形をとって固まり、創造主を仰ぎみるようになった。
「あれが太陽です」とクモ女はいった。「あなた方は創造主なる父と対面しているのです。あなた方は常に、これら創造の三つの段階を覚えておかなくてはなりません。濃い紫色、黄色、赤色という三つの光の時は、神秘、生命の息吹、愛の温かさを告げています。この三つが創造主の生命の計画を形作っているのです。また、創造の歌にも謳われています」
創造の歌
濃い紫の光が北に昇り
黄色い光が東に昇るとき
われら大地の花は生まれん
歓ばしき長寿をうけんため
われらは自らを蝶の乙女と呼ばん
男も女も東に祈れ
創造主なる太陽を尊べ
鈴の音は空気を通して鳴り響き
大地を通して歓びの音を伝え
その歓びの音は全土にこだまする
父よ、われらは慎みて願わん
完全者、父なるタイオワよ
黄色の光によりてわれらに示されし
麗しき生命を造りたもう完全者よ
赤き光のときにわれらに完全な光を与えたまえ
完全者は完全なる計画を定めたもう
生命の中に歓びを植える歌をつくり
われらに長寿を与えたもう
この幸福の道の上で、われら蝶の乙女は
父なる太陽を仰ぎそのみ心を行なわん
歌は創造主より歓びとともにこだまし
大地のわれらはそのこだまを創造主に返さん
黄色の光が現われるとき
喜びのこだまは幾度となく響く
来たるべき時代のために響いては響き返す
第一世界の最初の人々は、彼女に答えなかった。話ができなかったのである。何らかの対策を講ずる必要があった。クモ女はソツクナングから力を受けていたので、彼に呼びかけてどうすべきかを問う必要があった。そこで、パロンガウホヤを呼んでいった。
「あなたの伯父を呼びなさい。今すぐ必要なのです。」
『こだま』の子パロンガウホヤは、地軸に沿って地球の波動センターに呼びかけた。知らせはそこから全宇宙に反響した。
「われらが父ソツクナングよ、すぐにきてください。あなたが必要なのです。」
大風のような音とともに、ソツクナングは彼らの前に現われた。
「私はここにいる。いったい何事か。」
クモ女はこう説明した。「ご命令のとおり、最初の人間を創造しました。彼らの姿形は完全で、肌の色も正しく、生き、動いていますが、話すことができません。それが欠けています。そこで、話す力を与えていただきたいのです。また、知恵と生殖力をも。彼らが生きることを楽しみ、創造主に感謝できるよう。」
そこで、ソツクナングは互いの違いがわかるよう、肌の色に従って違った言語を与えた。また、知恵と生殖し増えるための力を与えた。
次にこのように告げた。
「私は、あなた方が生き幸せになるためにこの世界を与えた。ただ一つ、あなた方に求めることがある。いついかなるときにも創造主を尊ぶこと。知恵と調和、そしてあなた方の創造主の愛を尊ぶことである。それが成長し、あなた方が生きている限り忘れられることのないように。」
こうして、最初の人類はその赴くところに行き、増え始めた。